愛を増やす方法?
幸せで豊かな人の特質として、愛、情熱、使命感がある、また人が好きといった要素があげられると思います。
しかし、これらを意識的に増やすのは難しいかもしれません。たとえば愛を増やすったって、そもそも愛って何だ?という人もいるでしょう。実は、私もこの歳になってもよくわかっていません。
愛を周りに対する思いやりとか、慈悲とか、利他の精神とかに置き換えるとまだ少し理解できるかもしれませんが、そういう気持ちを意識的に増やすのも人によっては、これまたなかなか難しいでしょう。
では、どうすれば良いのでしょうか?
皆さんもご存知の通り、私たちの心や感情は、肉体から大きな影響を受けています。そこをうまく利用するのです。つまり意識からではなく、肉体的なところから日々の生活で変えていきます。
愛情ホルモン オキシトシン
幸せになるには、幸福感を感じる時間を増やすのが近道でもありますが、幸福感に関係した代表的な神経伝達物質が、セロトニンとオキシトシンです。人が幸せを感じている時、これらの神経伝達物質が脳内で分泌されていることは、医学的に数々の研究でわかっています。
現代人は、核家族化や生活の乱れ、ストレスの増加から、セロトニンとオキシトシンの分泌が少ない人が多いようにも見受けられます。
本日は、そのなかでも「愛情ホルモン」とか「お母さんホルモン」とも呼ばれるオキシトシンについて、解説したいと思います。
オキシトシンは、主に脳の視床下部で作られ、その名前の由来はギリシャ語の「速やかな出産」、陣痛を促進して出産を早めたり、おっぱいが出るようにうながしたりする働きがあります。オキシトシンが体内で増えると、愛情深くなり、仲間意識が強くなり、絆を感じ、また認知能力も上がるという研究結果も出ています。
では、どうすればオキシトシンを増やすことができるでしょうか?基本的なアプローチとして、次の4項目があげられます。
1.スキンシップを増やす
2.お風呂で体をマッサージしたりツボを押す
3.生演奏の心地よい音楽を楽しむ
4.肌ざわりの良い服を着る
オキシトシンを増やすためのポイント
オキシトシンは、後天的には幼少時に特定の養育者(肉親とは限りません)からどれだけ肌の触れ合い、たとえば抱っこされたり、優しく撫でられたりといったことが多いかでその分泌量に差が出るそうです。
大人になってからでも愛する対象となるパートナーや動物などとスキンシップを増やせば、オキシトシンの分泌量は増えます。
自分だけでもお風呂にゆったり浸かって、自分の体をマッサージしたりツボを押すことによって、オキシトシンの分泌を増やせます。
オキシトシン研究の第一人者である、統合医療クリニック徳の高橋徳院長によると、オキシトシンの分泌を増やすには、両手の親指と人差し指の骨の付け根の合谷(ごうこく)というツボを押すと良いそうです。
ほかにも頭をマッサージしたり、足の三里というツボも効果があり、各ツボを3秒程度5回ずつ垂直に押します。こちらに図解が載っていますので参考にしてください。
また、オキシトシンは触覚への効果的な刺激で分泌が増えることがわかっていますが、音楽も効果的です。
私たちは、音楽を耳だけではなく、肌でも感じています。このことから、生演奏の心地よい音楽を楽しむというのも効果的です。皆さんは、コンサートやライブで一体感を味わわれたことがあるでしょうか?実は、まさにそういう時、体内ではオキシトシンが多く分泌されているのです。
さらに触覚という点では、毎日着る服も大切です。特に肌に直接触れる素材は、多少お値段はかかっても合成繊維ではなく、綿や絹や柔らかい麻などの素材をお勧めします。
特に冬場の乾燥しやすい時期に静電気の多く出る素材は避けたほうが良いです。私たちの体の神経の伝達も微弱な電気信号ですので、静電気はそこに乱れを生じます。ぜひ肌触りの良い、静電気の発生しにくい素材を選んでください。
さて、オキシトシンの分泌が増えると、愛情豊かになり良いことばかりか、というともちろんダークサイドもあります。それは、仲間意識が強くなりすぎて、自分たちと同じ種族以外に排他的になったりすることもあるのです。ただし、これは、オキシトシンの分泌が増えすぎた場合の話でして、普通は、そこまで意識しなくて良いと考えられます。
また実は、オキシトシンの分泌を増やしても、生まれつきその受容体が少ない人、たとえば幼少時に親から離れたり虐待されたりして元々オキシトシンの分泌が少ない人、そういった人は、効果が出るのに時間がかかるかもしれません。
でも、気長に取り組んでみてください。そういったかたは、心理的なアプローチや感情をうまくコントロールすることも必要になるかもしれません。それについては、また別の機会にお話しします。
Cover Photo by Bermix Studio