都会で生活していると、限られた周波数帯の音、ノイズ、騒音などに常時晒されています。しかし、元々生き物としての人間は、もっと豊かな音の世界に生きていたと考えられます。
私たちの脳は数万年前からそれほど変わっていないと言われていますが、私たちを取り巻く音環境は激変しています。そして私たちは脳や感覚、体の機能をどんどん制限していまい、野生の直感や感性を失いつつあるようでもあります。
厳しい自然環境の変化や大きな自然災害なども多くなっている現在、私たちは改めて野生の感性を取り戻す必要があるのでは、ないでしょうか。そして、それは音から取り組むことによって、可能になると考えられます。
一口に自然や野生といってもそれは見た目だけではわかりません。たとえば、人間よって環境が変えられた森林と、元々の自然の森では、見た目はほとんど変わっていなくとも、音の豊富さの面では大きな違いがあります。
そのような野生の音の世界を明らかにしたのが、サウンドスケープ生態学のパイオニアとも言われる、ミュージシャンであり作曲家であり音響生態学者であるバーニー・クラウス氏です。
彼の著書「野生のオーケストラが聴こえる」は今、私の一番の愛読書でもあります。
野生のオーケストラが聴こえる―― サウンドスケープ生態学と音楽の起源
この本と連動したサイトでは、バーニー・クラウス氏が実際に録音した野生の音を聴くことができます。バーニー・クラウス氏のサイトでも音源のサンプルを聴くことができます。
また、TEDでのバーニー・クラウス氏の講演もぜひ聴いてみてください。ここでもいくつかのエピソードが紹介されています。